HSPと発達障がいの違い

アイキャッチ画像です はじめてのHSP
自分が発達障がいなのかHSPなのか悩む女性
  • 人とコミュニケーションを取るのが苦手
  • 仕事を上手にこなせない
  • 自分だけの強いこだわりがある

そんな生きづらさを抱えるHSPさんの中に、
「もしかして自分は発達障がいなのかな・・・」
と、思っている方がいるかもしれません。

昔の私もそうでした。


大学時代から積極的に子どもと関わる環境に身を置き、
現在も教育現場で働く中で、
集団生活になじめない子どもたち、
大人の指示がうまく理解できない子どもたちにたくさん出会ってきました。

そんな子たちの言動に多くの大人が理解に苦しむ中、幼き日の自分の姿を重ね、
「その気持ちわかるな・・・」と、密かに思うことも多かったのです。

また、私は大人になってもマイルールに縛られ、
自分をコントロールできなくなることに苦しんでいたので、
本気で発達検査を受けようかと悩んでいた矢先に出会ったのがHSPでした。


結論から言うと、HSP発達障がいは別物です

後ほど詳しく説明しますが、
発達障がいは、生まれつき脳に起こっている「障がい」で
HSPは、刺激に敏感であるという「気質」です。

ですが、HSPと発達障がいは往々にして混同されがちです。

なぜかというと、起こる仕組みは違うものの、
HSPさんと、発達障がいさんは、似た状況で困り感を持つことがあるからなのです。

なので、今回は発達障がいの大まかな特徴について確認しながら、
教育現場で出会った様々な子どもたちとの経験をもとに、
定義以外のHSPと発達障がいの違いについて考えてみたいと思います。

この文章が、あなたの困り感の原因を知るヒントになれば幸いです。
※診断ができるものではありません

発達障がいについて

発達障がいとは

先ほども示した通り発達障がいとは、
脳の一部の機能や神経の伝達回路がうまく機能しないことが原因で起こる先天性の障がいです。

ここで本論からは少し外れますが、一教育現場の人間として
ひとつ皆さんにお伝えしたいことがあります。

発達障がいの人は「能力が低い人」ではありません。
「各能力の差が大きい人」です。

他の病気との兼ね合いもあるので100%そうである!とは言い切れませんが、
基本的に「すべてのことが苦手」と言うよりかは、
周りが驚くほどの才能を発揮する一面がある一方で、
「苦手なことが苦手すぎるがゆえに普段の生活に支障が出ている」人が多い気がします。

「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC1000000167

また上にあるように、
その特徴によっていくつかの種類に分類されます。
そして、1種類の障がいを持つ人もいれば、複数を併せ持つ人もいます。

発達障がいの分類について説明した画像

発達障がい①:ADHD(注意欠如・多動症)

ADHDのアイキャッチ画像

ADHD
:Attention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。
 発達障がいの1つで、「不注意」と「多動性・衝動性」の特徴がある。

ADHDの症状のうち「不注意」には

  • ものをよく無くす(片付けが苦手)
  • 気が散りやすい
  • 物事の優先順位をつけにくい

多動性・衝動性」には

  • じっとしていられない(待てない)
  • 静かにできない
  • 思ったことをすぐ口に出してしまう

などの特徴があります。

ADHDとHSPの共通点

ADHDさんとHSPさん共通の悩みには

  • 気が散りやすい
  • 物事の優先順位がつけにくい

などがあるのではないでしょうか。

ただ、「気が散りやすい」と言っても、
ADHDさんは「色んなことに興味を持っていかれてしまう」
HSPさんは「小さな環境の要素を敏感に察知し、気になってしまう」
と、その原因は異なるような気がします。

「物事の優先順位がつけにくい」ことにおいても、
ADHDさんは「優先順位を判断するための項目が見つけられない」一方で、
HSPさんは「周りの目を気にしたり、優先順位を判断するための項目が多すぎたり
して判断できなくなる」ことが多そうです。

ADHDとHSPの違う点

ADHDの「不注意」の面での困り感が、HSPさんと似る場合がある一方で、
「多動性・衝動性」の特徴はHSPさんにはないことが多いです。

むしろ、HSPの物事を様々な視点から見て、深く思考し、判断する傾向は、
ADHDの「衝動性」とは対極にありそうですね。

発達障がい②:ASD(広汎性発達障がい)

ASDの特徴のアイキャッチ画像

ASD
:Autism Spectrum Disorderの略。
 大きな特徴には、興味範囲の狭さやコミュニケーションへの困難さが挙げられる。

この特徴が日常生活では、

  • 興味のあること(だけ)はとことん追求する
  • 自分の気持ちや考えを表すのが苦手
  • 他人の感情が理解できない
  • あいまいな指示が理解できない
  • 突然の予定変更に対応できない
  • 規則やルールにこだわる

などの形になって現れます。

このような特性の傾向が強い人からほとんどない人まで、
“ひとつの特性の連続体(スペクトラム)”としてとらえるのがASDです。

ちなみにアスペルガー症候群や、自閉症スペクトラム症も、
このASDに含まれます。

ASDとHSPの共通点

ASDさんとHSPさん共通の悩みには

  • 興味のあること(だけ)はとことん追求する
  • 自分の気持ちや考えを表すのが苦手
  • 突然の予定変更に対応できない
  • 規則やルールにこだわる

などが挙げられるのではないでしょうか。
私が自分を発達障がいでは?と疑ったのも、
ASDの特徴に、心当たりのあるものが多かったのがきっかけです。

興味があることをとことん追求したくなってしまうのは、
HSPさんの物事を深く考える性質が関係していると思われます。

自分の気持ちや考えを表すのが苦手なのは、
ASDさんが「自分の気持ちや考えを表す」ことそのものが苦手なのに対し、
HSPさんは、周りの状況やタイミング等色々考えすぎてしまった結果、
自分の気持ちや考えを外に出せなくなってしまうことが多いのではないでしょうか。

突然の予定変更に対応できなかったり、規則やルールにこだわるのは、
ASDさんもHSPさんも、「〇〇すべき」思考が強いことが考えられます。

また、感覚が過敏なASDさんも多いので、
そういった点もASDとHSPを混同させてしまう一因になるのかもしれません。

ASDとHSPの違う点

一番の違いは、
「他人の感情を理解することができるのかできないのか」
ということでしょう。

ASDさんの多くは、他人の感情や発言の意図を読み取ることがとても苦手です。

一方でHSPさんは、持ち前の繊細さから、他人の感情を敏感に察知します。

なので、同じことで悩んでいたとしても、
その根本的な理由は全く違うところにあると言えるでしょう。

発達障がい③:LD(学習障がい)

LDのアイキャッチ画像

LD
:Learning Disorderの略。
 全般的な知能の遅れはないが、読む、書く、計算するなどの、特定の学習に
 支障が見られる状態のこと。
 また、発達の遅れが「限局的である」ということに注目し、
 Specific Learning Disorder(SLD)と呼ばれることもある。

例えば、

  • 普通に会話できるのに、教科書の文章が全く読めない
  • ある程度成長しても、漢字がなかなか習得できない
  • 他のことはできるのに計算が極端に苦手

といった特徴を持つ人は、LDであることが考えられます。

またLDの中でも、

  • 読むことが苦手な人を、「ディスレクシア
  • 書くことが苦手な人を、「ディスグラフィア
  • 計算が苦手な人のことを、「ディスカリキュラ

として分類することができます。

子どもの頃は「勉強不足」「努力不足」だと思っていたけれど、
大人になってLDの存在を知り、自分がLDであることが判明した。
という人も少なくないようです。

LDに関しては、HSPさんの特徴と共通する点はほぼないといっていいでしょう。

自分の「困り感」と上手に向き合うために

いかがでしたか?

まとめとして言えることは、

  • HSPと発達障がいは別物
  • 同じことで悩んでいても、根本の原因は違うことが多い

ということです。

また、先に書いた通り発達障がいの方は、
生まれつきの脳の機能の不具合で能力がでこぼこしている人です。
なので、気になる方は早期に診断を受けてみても良いかもしれません。

症状を抑える薬を飲んだり、周りからの適切な支援を受けたりすることで、
劇的に生きることが楽になります。
そして、自分の得意なことを伸ばすきっかけにもなると思います。


一方で、HSPさんには
「発達障がいについて書かれた本を読んでみる」ということをお勧めします。

原因は違えど同じようなことで悩んでいる発達障がいの方が、
その悩みをどう乗り越えているのか。
周りの人にどう配慮してもらっているのか。

これらの情報は、HSPさん自身の悩みを軽くするのに確実に役立ちます。

HSP気質を持つ私は、
発達障がいの方が周りに配慮してもらっていることを、
自分で自分にする
ようにしたことで、改善した悩みがたくさんあります。

(例)物事の優先順位を判断できない
   :発達障がいの児童を持つ保護者向けの本に、
    「優先順位が高い順に箇条書きで説明する」とありました。
    そこで、相手の話が長い時、一通り聞いてから、
    「では、私がすべきことは「まず」〜ですか?次に?・・・」
    と、自分が箇条書きにしてメモできるようまとめてもらうようにしました。


「自分が生きやすくなる方法・環境づくり」の答えは1つではありません。

ただ、広い視野を持ってこつこつ学び続けることで、
自分にとっての最適解が見つかる日が来るはずです。

私もまだまだこれから。
一緒に「自分探究」してみましょう〜!

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  • HSPとうつ病について
    :HSPや発達障がいによる困り感を放置していると心の不調につながることがあります。

【参考文献】
発達障害者支援法 
大人の発達障害ナビ
・太田晴久 大人の発達障害 仕事・生活の困ったに寄り添う本 西東社 2021

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