HSPの私と家族のはなし

はじめてのHSP
桜並木が綺麗な公園
家族でよく訪れた思い出いっぱいの公園

HSPさんの中には「家族といるのが辛い」という人がいる。

何を隠そう、私もそのひとりだ。

でも、家族のことは嫌いではない。むしろ好きだ。
たくさん感謝しているし、長生きしてほしい。
ずっと幸せでいてほしい。

では、どうして好きな家族と過ごす時間を幸せだと思えないのか?
その答えの一つに、私自身の「HSP気質」があるのかもしれない。

「HSPってなんだろう?」と思った人は、←をチェック・・・

私と両親の関係性

私の家族は
父、母、私、弟、妹
の5人家族。

両親は私を本当にのびのびと育ててくれた。

「制服がかわいいから」
という理由だけで
通学に片道1時間半かかる高校を選んだときも、

「受験勉強したくないから」
と、学部だけ確認して推薦で大学を受験し、
バイトに明け暮れていた高校3年生のときも、

何も言わずに見守ってくれた両親。


ボランティア活動にのめり込み、
1週間近く家に帰らないと告げた時も、

友だちとの海外旅行から帰るやいなや
「気を遣って行けなかった所があるから、1人でもう1回行く」
と、宣言した時も、

「行っといで笑」
と、送り出してくれた両親。


就職活動がうまくいかず焦っていた
大学4年生の冬

「旅人になりたいから日本語教師になる」

と言った私に、
「やってみたらいいんじゃない?」
と、背中を押してくれた両親。


遅く帰っても絶対に怒られないけど、
帰ってくるまで起きて待っていてくれた両親。

「ひなは箱に収まるような娘じゃない」
と言いながら、
やりたいことはなんでもさせてくれた。

本当にたくさんの、
たくさんの愛情を受けて育ってきた。

心の底からそう思う。

私が人を嫌いになれないのは、
比較的多様な価値観を受け入れられるのは、
間違いなく両親のおかげだ。

私と兄弟の関係性

私には、1つ下の弟と4つ下の妹がいる。

弟は典型的な「自分にも他人にも優しい」タイプ。
好きなことしかやらない、片付けできない、身だしなみに頓着しない、
と姉としては心配になることも多い。

でも、私のどんな話もにこにこ聞いてくれ、
私が冗談で「かわいくない」と言われたことに対して
私よりも憤慨してくれるような一面もある。

今は遠く離れた場所(国内)にいるが、
帰ってくるたびに2人でカラオケに行ってくれる可愛いやつである。


妹はというと私とは全く違う性格。

勝ち気で、おしゃれで、コミュ力が高い。

だが、完璧主義ながら器用なタイプではないので、
彼女が努力した量に対して、彼女自身が期待したほどの結果が返ってこない
という状況におちいることも多い。

そんなこともあってか自分に自信がなく、
自分のキャパを大きく越える目標を立てては自分のメンタルを極限まで追い詰め、
行き場を失ったいらだちを家族にぶつけてくることも少なくなかった。

ちなみに私は妹比でいうと、ある程度の器用さを持ち合わせていて、
やったらなんでもなんとなく形になる
(そして極める前に飽きてしまって次のことをしてしまう)
というタイプだったので、妹の行動は理解できないことが多かった。

そして、末っ子だからか若干対応が甘い両親が気に食わなかったこともあり、
妹とはかなり大きくなるまで衝突を繰り返していた。

それでも、互いが大人になるにつれ、
妹は自分のふるまいを多少内省できるようになり、
私は高い目標に向かってストイックに努力できる妹に尊敬の念を抱けるようになった。

その頃から、妹ともカフェに行ったり、恋バナに花を咲かせる時間も格段に増えた。

つまり、兄弟との関係も悪くない。

HSPの私が家族といられない理由

では、どうして
「家族とずっといたいか」
という問いを肯定できないのか。
冒頭でも述べた通り、私のHSP的な性質が大きく関係していると思う。

特に大きく影響しているのは、この3つだろう。

  1. 1人の時間がないと心の安定を保てない
  2. 雑音が多い
  3. マイルールを貫けない

1 1人の時間がないと心の安定が保てない

間違いなく1番はこれ。

本当にやりたいことはなんでもさせてくれた両親だったが、
1つだけ条件があった。

それは、「お金が許す限り」であること。

共働きとはいえ、お世辞にも収入が高いとは言えない両親。
おまけに、私以外にも兄弟が2人いるため、
習い事の種類やおもちゃには制限があった。

これに関しては、子どもの頃は多少不満だったものの、
ピアノが習えない、あのおもちゃは買ってもらえない、
なんてことが、自分の人生にとって特にマイナスな影響はない
と、気づくのにそう時間はかからなかった。


一方で、年齢を重ねるごとに私の大きなストレスとなった要因が1つあった。

実家にプライベートスペースが全くなかったことだ。

「子ども部屋」と名付けられたその部屋の内実は、
6畳の部屋に兄弟3人分のデスクと棚。
もちろん仕切りも鍵もない。

寝室は家族で1つ。
シングルの敷き布団3枚に家族5人が並んで寝ていた。

そんな状況だから、
いつ誰に話しかけられるかわからない。
機嫌の悪い家族に当たられるかもしれない。
逆に誰かに気を遣わせてしまうかもしれない。

他人のエネルギーからの影響にさらされることを
常に受け入れるしかない状況にどんどん疲弊していった。

コーヒーゼリーと外の風景
実家のお気に入りスポット。背後は雑多なもので溢れかえったダイニングスペース。

2 雑音が多い

これは先述した、プライベートスペースがないことが
大きく関係する。

話し声、ゲームの操作音、楽器、テレビの音

お互い様といえばもちろんそうなのだが、
実家には聞きたくない音が常にあふれていた。

特に、深夜まで続くゲーム内での会話や、
シリアスな展開のドラマからもれる声が気になり、
心休まらないときも多かった。

静かなところに行きたい。
ずっとそう思っていた。


3 マイルールを貫けない

これは皆さんもお察しの通り。
実家暮らしとは家族との「共同生活」なもんで。笑

自分がやりたいことがやりたい時にできるとは限らない。
しかも、自分がしていることを誰かに見られるリスクが常に付きまとう。
どれだけストレスが溜まっても、
自分の分だけケーキを買って、夜中に食べるようなことはできないのだ。


周りを見渡すと、
父が捨てていないお菓子のゴミ、
妹に脱ぎ捨てられた服、
いつまでも寝ない弟。

直接迷惑をかけられているわけではないが、
「自分は許せない」と思う事柄のオンパレード。

小さなイライラが、ちりのように積み重なっていった。

我慢の限界

そんな私のいらだちが爆発したのは3年前。

新型コロナウイルスの流行がきっかけである。

それまでは、1人になりたいときの避難場所がいくつかあった。
落ち着くカフェ、大学の自習室、図書館。
ふらっと出かけて、落ち着いたら家に戻る。
これで私の心の安定は保たれていた。

ところが、新型コロナウイルスの流行を境に、
突如として私の避難場所は失われてしまう。

常に誰かの視界に入る状況で24時間

そんな中、就職試験を控えた私と、大学受験前の妹による
勉強場所を巡る争いが毎日繰り広げられた。

その結果、原因不明のじんましんと口内ヘルペス。

私のストレスはピークに達していた。

幼児用歯ブラシ
ヘルペスで歯茎がパンパンだった時にお世話になったキュートな歯ブラシ

家族と離れてみるという選択

「私、一人暮らしするわ」

そう家族に宣言したのは、就職試験に合格してすぐのこと。

お金はあまり貯まっていなかったが、
クレジットカードの分割払いでもなんでもいいから、
とにかくこの状況から逃げ出したかった。

そんな私の気持ちを両親も汲んでくれていたのだろう。
特に反対することもなく、
荷物を運び、家具の調達をたくさん手伝ってくれた。

そんなこんなで、宣言から3ヶ月ほど経った頃、
実家から1時間ほど離れたワンルームでの一人暮らしが始まった。

はちみつ
実家を出る時に母がくれたはちみつ。愛。

家族と離れてみて気づいたこと

一人暮らしを始めたことで得られたものは数知れない。
その中でも、

  • 静かな空間
  • 誰にも見られていない時間
  • きれいな部屋

これらは私のメンタルをとても穏やかにしてくれた。


ちなみに、両親とは2ヶ月に1回ほど会う。

ご飯を食べたり、野球観戦をしたり、
とても楽しい時間を過ごしている。

別れ際の少し寂しそうな両親(特に父)の顔に、
心がむずむずする時もあるが、
自分の決断は間違っていなかったと思っている。

HSPさんに伝えたいこと

この文の冒頭で、
HSPさんの中には「家族といるのが辛い」という人がいる。
そして、私もその1人である。

そんな話をした。

その後の話は、個人的には踏み込んだエピソードも多い上、
友達に出すのもためらうようなネガティブな感情を含むものだから、
文章にしようかとても迷った。

それでも、あえて言葉にしたのは、
同じ悩みを持つ仲間にどうしても伝えたいことがあったから。

どうか誰のことも責めないでほしいということだ。

家族といるのが辛いのは、必ずしも家族が悪いわけではない。
そして、「家族といるのが辛い」と感じるあなたも悪くない。

だって、家族も他人だから。
ひとりひとりがそれぞれの価値観を持って生きている。
それぞれの価値観は押し付けるものでも押し付けられるものでもない
と思う

だからこそ、誰かを責めて辛くなるのも、
自分を責めて辛くなるのも悲しいこと。

辛い状況の原因だけ確認できたら、あとはどう逃げるか考えてみよう。

「みんなにとってのハッピーエンド」になる答えが
きっとどこかにあるはずだから。

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