周りの人のささいな仕草や、声色の変化に敏感に気づき、
「この人は今どんな気持ちなんだろう」
「どうしてそんなことした(言った)んだろう」
と深く考え込んでしまう傾向のあるHSPさん。
そんなHSPさんなら、誰かと関わる中で、
一度はこんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
私がこの人を怒らせた・・・・?
挨拶を無視された、
話しかけたらそっけない態度だった、
いつもよりテンションが低い気がする。
え、私何か悪いことしたかな?
昨日この人と何話したっけ・・・・。
頭をフル回転させて自分と相手の過去を思い出してみる。
ただ、自分が怒らせたという心当たりも出てこないので、
直接本人に確かめる勇気も出ず、いつまでも1人でもやもやしてしまう・・・。
私はすごくよくあります。笑
こういう時、もちろん自分に原因がある時もあるのですが、
全く自分に関係のない理由で相手が怒っている時もよくあります。
そんなことは皆さんも今までで経験済みですよね。
要するに八つ当たり。
さて、この八つ当たりという現象はどういう仕組みで怒っているのでしょうか。
その答えを探るヒントに、「吊り橋効果」という認知バイアスがあります。
・「認知バイアス」って何?と思った人はここをチェック
・まずHSPを知りたい!という方はこちらをチェック
吊り橋効果とは
吊り橋効果
:吊り橋などの心拍数の上昇が起きやすい状況で、異性がそばにいると、
そのドキドキを恋愛感情であると勘違いしてしまう効果。
これは、吊り橋の上にいる不安や緊張からくるドキドキを、
そばにいる異性が好きだからドキドキしている、
と誤って解釈してしまうことから起こる認知の歪みです。
通常自分の抱いている感情の解釈(今自分どんな気持ち?)は、
- 何かが起こる(吊り橋の上に行く)
- それに対する感情を抱く(ドキドキする)
という順番で行われるのですが、
- 何か感情を抱いている(ドキドキしている)
- 周囲の状況から理由づけをする(近くに異性がいるから)
といったように、通常とは逆の順番で感情の解釈が行われるのが吊り橋効果です。
そして、ここまででお話しした通り、
本来吊り橋効果は恋愛において引き合いに出される認知バイアスです。
しかし、「自分の感情の理由を誤って解釈してしまう」
ということ自体は恋愛以外でもよく起こってしまいます。
冒頭に挙げた例の1つである
話しかけたのにそっけない態度だった
で考えてみましょう。
そっけない態度をとった人はイライラしていたのでしょうね。
その理由はあなたの過去の言動だったかもしれません。
でも・・・
なんてことが理由な可能性も十分にあります。
つまり、相手がイライラしている理由にあなたは全く関係ありません。
それなのに、あなたにそっけない態度を取ってしまった相手の人は、
- 何か感情を抱いている(イライラしている)
- 周囲の状況から理由づけをする(あなたが話しかけてきたから)
というふうに、自分の感情が起こった理由の解釈を間違えてしまったのかもしれません。
原理は吊り橋効果と全く同じですよね。
吊り橋効果がHSPさんに与えてしまう影響
そんな吊り橋効果もとい、
「自分の感情が起こった理由を間違えて解釈してしまう」
認知バイアスが原因で、他者から怒りや悲しみをぶつけられたとき、
HSPさんはどのような影響を受けてしまうのでしょうか。
- 他者に心を許しづらくなってしまう
- 自分のことを必要以上に責めすぎてしまう
他者に心を許しづらくなってしまう
自分の周りの誰かが、怒っている、悲しんでいる。
その理由の全てを「自分のせい」という縛りの中で結論づけようとする思考が癖づいてしまうと、
どうしても他者に心を許しづらくなってしまいます。
その人の優しい時、機嫌のいい時も知っているけれど、
怒らせたら怖い(しかも理由がはっきりわからない)。
なんて考えて出してしまうと、どうしても人と関わるのが億劫になってしまいますよね。
また、自分が何か人に相談したくなった時も、
相手が親身に話を聞いてくれなかったら、
「私が相談したから気を悪くしたのかも」と考えて怖くなり、
誰にも自分の話ができなくなる・・・といったことにもなりかねません。
自分のことを必要以上に責めすぎてしまう
もし、周りにいる人の怒り、悲しみなどといった、
ネガティブな感情の原因が自分にあると考えるなら、
「他人を怒らせて(悲しませて)しまう自分」の評価はかなり低いものとなってしまうでしょう。
また、もし本当に他人のネガティブな感情の原因が自分にあるなら、
次に同じことをしないように具体的な対策が立てられます。
しかし、こういった時大抵は
「自分が原因な気がする」なんてぼんやりとした感じで、
自分のことをただ責めてしまうことが多いはずです。
そうなってしまうと、本当の理由はどうであれ事態は変わらないうえ、
ただただ自分で自己肯定感を下げていくだけの悲しい時間が増えていくでしょう。
吊り橋効果との上手な向き合い方
「自分の持つ感情の理由の解釈を間違ってしまう」
ことで、HSPさんが心をすり減らしてしまわないためにはどうしたらいいでしょうか。
それは、
「自分の感情ですら、自分自身でわかっていないことがある」
ということを理解することです(あなたも私も、ね)。
誰かがあなたに対して怒りや悲しみをぶつけてきた時、
自分に原因がないか思い返すこと自体は、相手との関係を良好に保つための大切なことです。
でも、思い返しても理由が思い当たらないのに、
「自分のせいに違いない」と自分を責めてしまうと、気持ちがしんどくなってしまいますよね。
だから、そんな時は考えるのを1度休憩して、
「相手が怒って(悲しんで)いる原因は自分とは関係のないこと」
だと考えてみてはいかがでしょうか。
そうして、また別の機会でその相手と接した時、
相手の反応を見れば、その予想が合っているかどうかはわかるでしょう。
それでも不安なら、相手に直接理由を聞いてみてもいいかもしれません。
HSPさんは基本的に、他者に思いやりを持って接することができます。
また、変化によく気づき、不快な思いをさせないよう最大限に努力します。
そんなHSPさんが「誰かをひどく怒らせる(悲しませる)」
なんてことは、そう頻繁に起こるものではありません。
だから、自信を持って、落ち着いて、周りの人との関係を深めていきたいですね。
【参考文献】
・情報文化研究所 情報を正しく選択するための認知バイアス辞典 フォレスト出版株式会社 (2021)
・マイナビニュース 吊り橋効果ってビジネスにも活用できるって本当?
・Wikipedia 吊り橋理論
⚠️認知バイアスについては、本来の意味と異なるものを紹介しないよう細心の注意を払っておりますが、
HSPさんにどう影響するかについては個人の解釈が入っております。
こういう考え方もあるんだなあ〜という気持ちで見てくださると嬉しいです!
⭐️こちらの記事もおすすめ⭐️
・【HSPさんのための認知バイアス入門】4対人論法
・【HSPさんのための認知バイアス入門】5お前だって論法
:誰かにあなたが怒っている原因が理不尽だと思った時、
これらの認知バイアスが関係しているかもしれません・・・。
コメント