何かを始める時は、物事を様々な面から検討し、深く考える傾向のあるHSPさん。
慎重に慎重を期し、「絶対にいける!」と思うまで
イメージを膨らますことができて初めて
行動に移す、という方も多いのではないのでしょうか。
でも、時間・道具の不足や、周りの環境などにより、
なぜか自分のイメージ通りに事が進まないこともあったはずです。
そんな時、
あぁまた失敗してしまった・・・。
この間あれやった時も時間なくてうまくいかなかったしな。
そういや、あの人も私のこと「要領悪い」って言ってたな・・・。
なんて、一つの失敗をきっかけにどんどん悪いことが思い出されて、
挑戦しかけたことをやめてしまったり、
「失敗したこと」ではなく「ダメな自分」に落ち込んでしまったりしたことはないでしょうか。
私はよくあります。笑
そしてその結果、やりかけて挫折した事が
どんどんたまっていくんですよね。
そんな私だからこそ言えるのは、
何かをやめるときの理由が、「自分のネガティブな想像に押しつぶされたから」
というのはもったいないのでは?ということです。
ということで今回は、
「悪いことが起こると悪いことばかり想像してしまう」
という現象がなぜ起こるのか、
そして、そんな現象とどう向き合っていけばいいのかを、
「気分一致効果」という認知バイアスの視点から探っていきたいと思います!
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気分一致効果とは
気分一致効果
:人が、ポジティブな気分の時はポジティブな、ネガティブな気分の時にはネガティブな言動・考え方をする現象のこと
例えば、
(例)子どもたちが家の前で楽しそうに遊んでいる時の受け取り方
ポジティブな気分のとき
:「かわいいなあ」「いっぱい思い出作ってほしいなあ」
ネガティブな気分のとき
:「うるさい」「こんなに呑気なのも今のうちだけ」
といったものが例として挙げられます。
つまり、気分一致効果とは、
同じできごとが起こった時の捉え方が、その時の感情によって変わってしまう
という現象だということです。
そして、この気分一致効果は、
過去の記憶や、未来予想をするときにも働くと言われています。
(気分一致効果が過去の記憶に働く例)
:受験勉強がうまく行っていない時
過去に合格できなかった試験のことや、根気が続かなかった自分のエピソード
も思い出して落ち込んでしまう。
冒頭の例もこれに当たりますね。
ちなみに、過去の記憶において起こる気分一致効果を
「気分状態依存現象」と言います。
(気分一致効果が未来予想に働く例)
:交際相手からサプライズでプレゼントをもらったとき
「こんなに自分を幸せな気持ちにしてくれる人なら、ずっと一緒にいても大丈夫だろう」
と結婚生活に胸を膨らませる。
日常の身近なシチュエーションだけでも数え切れないほどの例があげられ、
私たちの意思決定に少なからず影響を与えている認知バイアスであることがわかります。
では、気分一致効果はどのような仕組みで起こっているのでしょうか。
気分一致効果が起こる仕組み
気分一致効果は一言で表すと、
「物事を判断する基準に感情が影響する」という現象です。
そんな気分一致効果が起こる背景には、
「感情のネットワークモデル」
「セルフスキーマ」
という2つの要因が関係しています。
感情のネットワークモデルとは
感情のネットワークモデル
:ある感情が湧き起こると、その感情とリンクしている行動や知識が活性化されること
つまりこのモデルは、
嬉しい・楽しい時には、嬉しかったり楽しかったりした記憶やできごとが、
悲しい時には、悲しい記憶やできごとが思い出されやすくなる、
ということを示しているものです。
そして、感情のネットワークモデルは、
自分に関する情報を処理する時に、特に活性化しやすいと言われています。
このような傾向ができる要因の1つが私たち人間が持つ「セルフスキーマ」です。
セルフスキーマとは
セルフスキーマ
:人間の考え方のくせ・枠組み。自身のこれまでの経験や信念などによって作られる。
つまり人は、人生で色んな経験を重ねるにつれ、
「悪い事があった。これからもっと悪い事が起こるはずだ」
「いいことがあった時は、もっといいことがあるに違いない」
といったような、感情ネットワークに基づく考え方のくせ(セルフスキーマ)ができてきます。
そしていざ何かが起こった時、その時の感情を手がかりに、
自分のセルフスキーマに現状を当てはめようとした結果、
特定の記憶にだけ注意が向くことで気分一致効果が起こると考えられます。
気分一致効果がHSPさんに与える影響
では、気分一致効果の影響を受けた時、
つまり、ものごとの判断や解釈が「その時の自分の感情」に左右された状態の時、
HSPさんはどのような影響を受けるのでしょうか。
感情にその時の判断が左右されてしまう
これに尽きると思います。
といったように、気分一致効果の影響を受けることは
必ずしも悪い事だとはいえません。
営業や接客業において活用されることも多い認知バイアスです。
ただしこれが、HSPさんの特徴である
が合わさった時、
原因となってしまう事があるのです。
また、周りの環境や、周囲の人の雰囲気に流されて、
本来自分が思っていたこととは違う判断を下してしまい、
後で後悔する・・・なんてことにもなりかねません。
【気分不一致効果】気分一致効果との上手な向き合い方
では、気分一致効果によって、
HSPさんがネガティブな影響を受けてしまわないようにするためにはどうしたらいいでしょうか。
キーワードはずばり、「気分不一致効果」です
気分不一致効果
:ネガティブな気分の時は、そうでない時より、ポジティブな言動をしたり、
記憶を思い出したりしやすくなること
つまり、気分一致効果と逆の現象のことを指します。
具体的には、自分が落ち込んだり、悲しくなったりした時に、
などの、ポジティブな言動を行うことで、
ネガティブな感情を和らげたい時に起こる現象だと言われています。
もし、何かあってネガティブな感情になってしまった時、
そして、その感情から抜け出せなくなってしまった時は、
ぜひこの気分「不」一致効果を意識して欲しいと思います。
ミスをして、自分のできなさに悲しくなった時、
過去の自分が達成できたことを、その時の高揚した気持ちを思い出してみてください。
ちょっと憂鬱な月曜日の朝、
1時間後の仕事のことを考えて落ち込みそうなら、
大好きな曲を少し大きな音量で聴いてみてください。
ミスをした原因を考えたり、
何かをやめる決断をするのは、
気持ちが前を向いてからでも遅くありませんよ🕊️
【参考文献】
・情報文化研究所 情報を正しく選択するための認知バイアス辞典 フォレスト出版株式会社 (2021)
・Direct communication 気分一致効果の意味とは
・伊藤美加(2000) 自己関連的情報処理における気分一致効果 自伝想起課題による検討
・科学事典 気分が与える影響
⚠️認知バイアスについては、本来の意味と異なるものを紹介しないよう細心の注意を払っておりますが、
HSPさんにどう影響するかについては個人の解釈が入っております。
こういう考え方もあるんだなあ〜という気持ちで見てくださると嬉しいです!
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