【HSPさんのための認知バイアス入門】10 ホーソン効果

HSPさんのための認知バイアス入門
自分を見て微笑んでいる人たちの画像。自分が頑張れる場所はどこだろう?という問いを投げかけている。

何をやってもうまくいかない。
何かしても失敗しそうでやる気も起きない。

そう感じることはありませんか?

  • 物事をさまざまな視点から考えることができる
  • 自分と他人の境界線が薄い(他人に影響されやすい)
  • 他人のストレスなどを敏感に察知する

などの特徴を持つHSPさん。

これらの特徴はHSPさんの魅力となる一方で、
HSPさんの判断・行動を慎重にさせてしまう原因にもなります。


とはいっても。

  • 「あなたならできるよ」と応援してもらえたから頑張れた
  • 他の人に褒められた行動は、別の場所でも自信を持ってできる

なんてことも、1度はありますよね?
つまり、「人が頑張れるかどうかは環境による」ということです。

では、どんな環境なら成功を信じて色んなことに挑戦し、
達成に向けて頑張ろうと思えるのでしょうか?

今回は、「ホーソン効果」と呼ばれる認知バイアス(考え方の偏り)
から考えてみたいと思います。

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ホーソン効果について

ホーソン効果について説明した画像

ホーソン効果とは

ホーソン効果
他の人からのポジティブな注目(期待など)を受けると、それに応えようとして、
 力を発揮する現象

つまり、冒頭に話した「頑張れる環境」とは、
「あなたが注目・期待され、その気持ちに報いたいと思える環境」なのです。

ホーソン効果が起こる仕組み

ホーソン効果が起こる仕組みにはいくつかの説があります。

1 人間が人間的・社会的に扱われることにより起こる(質的要因)
  :これが、今回上で取り上げている仕組みです。
   誰かの注目・期待、つまり量で測ることのできない要因によって、ホーソン効果が起こっているという説です。

2 ルール・作業時間・大恐慌などといった要因で起こる(量的要因)
  :この説は、作業時間の長さや休憩時間の周期などの、量で測ることのできる要因が人の作業効率を上げたり下げたりする。
   つまり、頑張ったり頑張らせなかったりする、というものです。 

3 さまざまなことを経験する中での学習・習熟効果として起こる
  :ホーソン効果の結果を「作業効率の上昇」だとした時、それは時間の経過や、その人の学習によって起こるとする説です。
   要するに「慣れ」ということですね。

4 偽薬効果として起こる
  :のちに紹介する「プラセボ効果」と同じである。という説です。

このように、その仕組みにおいて活発な議論がなされている認知バイアスですが、

  • 1番メジャーな説である
  • 2の説を立証するための実験の欠点として、「人間関係による影響を完全に除去できない」ということが挙げられている

という点から、ここでは引き続き、
ホーソン効果は
他の人からのポジティブな注目(期待など)を受けると、それに応えようと力を発揮する現象
であるとして、HSPさんへの影響を考えていきます。

ホーソン効果とよく似た効果

ホーソン効果と類似の効果について説明した画像

ホーソン効果がHSPさんに与える影響を考える前に、
「他人の評価」「自分の作業効率(モチベーション)」
という2つのキーワードに関連する認知バイアスとの違いを紹介したいと思います。

ホーソン効果とよく似た認知バイアスには次のものがあります。

  • ピグマリオン効果/ゴーレム効果
  • プラセボ効果
  • ハロー効果

ホーソン効果とピグマリオン効果の違い

ピグマリオン効果
:他の人から期待などを受けた時に、その期待に応えようと努力することで
 パフォーマンスが上がる現象。
 「教育期待効果」とも呼ばれる。

ホーソン効果とよく似ていますが、
「どの立場の人から受けた期待か」という点において違いがあります。

  • ホーソン効果のきっかけは「他の人(誰でも)」からの期待
  • ピグマリオン効果のきっかけは「教師など目上の人」からの期待

このピグマリオン効果のちょうど反対に当たる効果が
「ゴーレム効果」です。

ゴーレム効果
:ピグマリオン効果の逆。人が「他の人から期待されていない」と感じることで
 パフォーマンスが下がってしまう現象。

ここからも、自分の成功が期待されてない環境では、
結果が出にくいことがわかります。
また、期待されてないことで本来の力も出にくくなり、
さらに期待されない存在になっていくことが容易に想像できます。

ホーソン効果とプラセボ効果の違い

プラセボ効果
:思い込みが体や実力に影響を及ぼし、何かが改善する効果。

車酔いをした時に酔い止めだと思って飲んだ錠剤が
実はラムネだったけれど、酔いは治った。
なんてことが例として挙げられます。

どちらも「期待が何かを改善する」という点においては同じですが、
「どんな期待か」という点において、2つの効果は異なります。

  • ホーソン効果は「他の人からの期待」によって起こる効果
  • プラセボ効果は「自分の期待(思い込み)」によって起こる効果

ホーソン効果とハロー効果の違い

ハロー効果
:人やものに抱いた1つの側面のイメージを、その他のイメージにも適用してしまうこと。

簡単なものだと、
「Aさんはサッカーができるから野球もできそう」
「B君はだらしがないから勉強もできないに違いない」
などといったものが挙げられます。

ホーソン効果との違いは「どちらが受ける効果か」という点です。

  • ホーソン効果は「期待をされた側」が受ける効果
  • ハロー効果は「期待をする側」が受ける効果

ホーソン効果がHSPさんに与える影響

では、HSPさんが「他人に注目・期待される場所にいる」
つまり、頑張れる環境にいると、どのような影響があるでしょうか。

自己肯定感が高くなる

「自分と他人との境界線が薄い」
すなわち、他人の感情を自分の感情のように感じてしまったり、
考え方が他人に影響されやすかったりするHSPさん。

もし周りにそんなHSPさんのことを、

  • あなたがいてくれるからプロジェクトは成功するよ!
  • あなたの言葉で助かっている人がたくさんいるよ。

なんていってくれる人がいたらどうでしょう。

きっとすぐに影響されて、
「私の行動は間違ってないんだ……。嬉しい!頑張ろう!」
と前向きな気持ちになれるはずです。

過度な期待は逆にプレッシャーになる可能性がありますが、
適度にHSPさんを気にかけ、認めてくれる環境は、
HSPさんが自信を持って過ごせることにつながります。

HSPの特徴が長所として働きやすくなる

適度な注目・期待を受けることで、HSPさんの自己肯定感が上がると、
深く考える癖や、過去の経験に基づいた、マイナス思考が軽くなっていきます。

そのため、HSPさんの深く考える特徴や、共感力の高さが、
長所として働くことが多くなるでしょう
(マイナスな思い込みが外れ、的確に物事をふかんでみられるようになるイメージ)。

また、もともとHSPさんに注目・期待してくれるような環境では、
HSPさんならではの特徴が求められている場合が多いです。

自分の個性を生かし、成功した体験がどんどん増えれば、
さらに自分に自信がつくことは間違いありません。

ホーソン効果との上手な向き合い方

筆者が大学時代に出会った仲間と大縄跳びをしている画像。
私も、大学時代に出会ったボランティアサークルの仲間の応援のおかげで、たくさんの挑戦をし、自分の長所に気づくことができました。

どんなに速く泳げる魚でも、
陸にあがれば泳ぐことはおろか、生きていることもままなりません。

人間も同じ。
自分の能力が活かされる場所、あなたの気質が求められる場所じゃないと
上手に生きてはいけない
のです。

だから、今いる環境が辛かったり、
自分に自信が持てなかったりするのは、
あなたがダメな人間だからではありません。

どうか、自分を責めてしまう前に、少し視野を広げてみてください。

  • 自分が望む生き方をしている人に話を聞いてみる
  • 自分の得意なことができる環境を探してみる
  • 「この人のためなら頑張れるかも・・・」と思える人を探す

「敏感で繊細なあなた」が求められている、期待される。
あなたが胸を張って自分を好きでいられる。
そんな場所がきっと見つかるはずです。

【参考文献】
・Schoo for Business ホーソン効果とは?社員のやる気を引き出す方法を紹介
・MarkeTRUNK ホーソン効果とは?ピグマリオン効果やプラセボ効果との違い、事例を解説
・(大橋昭一、竹林浩志,2006)ホーソン効果の実態を巡る諸論調ーホーソン効果についてのいくつかの見解ー

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