皆さんは、
アイスクリームの売り上げが上がると、プールでの事故が増える
という話を聞いたことはありますか?
また、あなたは「アイスクリームの売り上げが上がること」と「プールでの事故が増えること」に関連性があると思いますか?
いろんな考え方があるとは思いますが、実際は関係がありません。
プールの事故が増える原因に、アイスクリームの売り上げは入らないのです。
でも、この話を「へ〜」と鵜呑みにしてしまう人はたくさんいます。
「嘘だ」と思ったとしても、なぜ嘘だと思ったかを説明できる人はそう多くないでしょう。
これは、擬似相関という認知バイアス(考え方の偏り)によって、
私たちが正しい判断をできなくなっているからかもしれません。
ということで今回は、
についてお伝えしたいと思います。
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擬似相関とは
擬似相関
:直接関係のない2つの事柄が、ある1つの要因を見落とすことにより、関係があるようにみえてしまうこと。「見せかけの相関」「見かけ上の相関」とも言われる。
擬似相関の「相関」とは、2つの値(事柄)が関係していることです。
一方の値が動けば、もう一方の値も変化します。
ただし、今回ご紹介する擬似相関は「相関っぽいけど違う」ので、
一方の値が変化しても、もう一方の値は変化しません!笑
それを踏まえた上で、有名な例をいくつか見てみましょう。
- アイスクリームの売り上げが上がると、プールでの事故が増える
- チョコレート消費量の多い国はノーベル賞受賞者が多い
- 牛乳の消費量が多い国は少ない国と比べてがん患者が多い
などです。冷静に考えればなんじゃこれ?なものばかりですよね。
でも、これらの例はどうでしょうか。
- 朝ごはんを食べるとテストの成績が上がる
- 年賀状を出す人ほど高収入
- 高収入の人は高血圧になりやすい
・・・ちょっと信じてしまいそうなものもありませんか?
ちゃんと理由を考えれば「関係ない」ということはわかるんですけどね。笑
では、どうして擬似相関による勘違いは起こってしまうのでしょうか。
擬似相関が起こる仕組み
擬似相関が起こる仕組みを、「アイスクリームの売り上げが上がると、プールでの事故が増える」という例で考えてみましょう。
おさらいですが、擬似相関とは「見せかけの相関」です。
関係ありそうで無い2つの事柄の話です。この例でいう2つの事柄は、
- A:アイスクリームの売り上げが上がる
- B:プールでの事故が増える
ですよね。
プールの事故が増えた理由に、アイスクリームの売り上げは関係が無いはずなのに、
関係があるかのように述べられた文章です。
どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。
ポイントは、2つの要素にある共通点です。
それぞれの条件が成立する状況を考えてみてください。
どんな時にアイスは売れ、プールの事故は増えるでしょう?
おそらく多くの方が「暑い時」「夏」などを思い浮かべたのでは無いでしょうか。
この2つの要素の共通点は「暑い時に増える」なのです。
そしてこれが擬似相関の罠。
アイスの売り上げも、プールでの事故の件数も暑い時(同じ状況下)で増えるから、
アイスの売り上げとプールでの事故自体が影響を与えあっているように見えてしまうのです。
擬似相関がHSPさんに与える影響
では、この擬似相関はHSPさんにどのような影響を与えてしまうのでしょうか。
情報の受け取り方を誤ってしまう
「関係のないものが関係があるように感じてしまう」擬似相関は、
フェイクニュースやデマなどの原因になってしまうことがあります。
先に挙げた「朝ごはんを食べるとテストの成績が上がる」を例にしてみましょう。
確かに、朝ごはんを頻繁に食べる人ほどテストの点数が高いという結果はででいます。
ただここで大切なのは、
「朝ごはんを食べることそのものがテストの点数に影響するのか」
ということです。
もちろん、朝ごはんを食べると脳にブドウ糖(栄養)が行きわたり、
脳が働きやすい状況になります。
また、空腹状態から抜けられるのでテストにも集中しやすくなるかもしれません。
一方で、「朝ごはんを毎日食べられる人の特徴(条件が成立する状況)」
を考えたとき、
- 朝ごはんを用意するだけの経済的余裕がある
- 朝ごはんを食べる時間がある
- 「朝ごはんを食べる」を毎日のルーティンにできる生活習慣が身についている
などを挙げることができます。
そしてこれはそのまま、「テストの点数が高くなる」条件にも当てはめることができます。
- 経済的余裕がある→朝ごはんを毎日用意できない人に比べて塾などに行っている人の割合が多い
- 時間がある→余裕を持って行動しているため、授業に遅刻する人が少ない(テストに出る内容を聞き漏らさない)
- 生活習慣が身についている→学習習慣も自分のものにしやすい
といった調子です。
つまり、テストの点数が高い人に、朝ごはんを食べている人が多いとは言えても、
「朝ごはんを食べるとテストの点数が上がる」とは言い切れないのです。
*ちなみに私は毎日朝ごはんを食べた方がいいと思っている派です🙌笑
このようなことが他にも、身近に私たちの周りで起こっていて、
思わぬ勘違いや混乱などを引き起こしてしまうことがあります。そして、
- 他人の考えに自分の考えが引っ張られやすい(他人軸になりやすい)
- 自分に自信がない
などの特徴を持つHSPさんは、
自分自身が物事を擬似相関によって見誤ってしまうだけではなく、
擬似相関による周りの人の勘違いに影響を受けやすいと言えます。
擬似相関との上手な向き合い方
では、擬似相関によって情報を誤って受け取ってしまわないように、
自分で心がけられることはなんでしょうか。
- 複数の情報源から物事を判断する
- なんでも「自分ごと」にしない
の2つの視点から考えてみましょう。
複数の情報源から物事を判断する
まずは、物事を少ない情報源で判断しないようにすることが大切です。
正しい情報(本当に関係のある事項)を見抜くには、
- ネットの情報だけではなく、関連する書籍や論文を読んでみる
- 複数の人に意見を聞いてみる
- 統計や数値によるデータなども参照する
などの工夫が有効になるでしょう。
また、擬似相関を避けるための情報収集、という観点からポイントを挙げるなら、
「理屈を考える(知ろうとする)」ことが大切でしょう。
2つの条件の関連が示されたのはなぜか。
それを説明しようと思うと、本当に関係のある別の条件なしに成立させることは
難しいはずです。
なんでも「自分ごと」にしない
先ほどあげた「朝ごはんを食べるとテストの成績が上がる」のように、
結果として2つの条件に関係はないけれど、
こじつけると関係があるように見えるものや、
完全に無関係とは言い切れないケースもあります。
そんな時に大切なのが、
なんでも「自分ごと」にせず考えるということです。
ある2つの条件に関連があるのかを考えた時、
自分や自分と関わったことがある人はどうだろう、と考えてしまうと
- 自分が生きてきた中でそんなことあったかな
- 友達にこういう人がいたなあ
なんて思考になり、本来は珍しいケースであったとしても、
関連性があることを裏付ける証拠として採用してしまうことがあります。
でも、本当にあなたが知りたかったのは、
「『あなたにとって』2つの条件に関連性があるか」ではなく、
「『多くの人にとって』2つの条件に関連性はあるか」ですよね。
なので、擬似相関による勘違いを避けるという点においては、
自分はどうか、ではなく、多くの人の傾向はどうか、
数値としてどのように表れているか、などに着目して考えてみると良いでしょう。
まとめ
今回は、
ということをお伝えしました。
「複数の情報源を検討する」ということは、
物事を深く考えたり、そもそも思考することに楽しみを見出せるHSPさんに
とって得意分野でもあります。
ぜひその強みを活かして、できるだけ歪みなく物事を判断できるようになりたいですね🌼
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⚠️認知バイアスについては、本来の意味と異なるものを紹介しないよう細心の注意を払っておりますが、
HSPさんにどう影響するかについては個人の解釈が入っております。
こういう考え方もあるんだなあ〜という気持ちで見てくださると嬉しいです!
【参考文献】
・情報文化研究所 情報を正しく選択するための認知バイアス辞典 フォレスト出版株式会社 (2021)
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