恋をすると周りが見えなくなる
https://www.uta-net.com/song/348672/ 恋は盲目(ヤングスキニー)
いつか誰かが言っていた言葉
私のことを捨てたあの人を
最低なんてこれっぽちも思やしなかった
これはヤングスキニーさんの『恋は盲目』という歌の冒頭です。
皆さんはこれを読んでどう思いましたか?
何を言っているんだ。と思った人もいるかもしれません。
めっちゃわかる!と思った人もいるかもしれません。
ちなみに私は後者です。こんなんありすぎる。
ですが冷静に考えてみると、この歌の人は
捨てられたということは認識しながら相手のことを全く悪く思えていない。
少し違和感がありませんか?
これは、感情移入ギャップという認知バイアス(考え方の偏り)が、
歌の人の冷静な判断を妨げていると考えられます。
また、これは歌の中での話ですが、
感情移入ギャップ日常で起こる様々な事柄にも関わっていて、
私たちが物事を判断する際に大きな影響を与えています。そこで今回は、
についてご紹介していきたいと思います!
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感情移入ギャップとは
感情移入ギャップは、心理学者のジョージ・ローウェンシュタインが
提唱した認知バイアスの1つです。
感情移入ギャップ:何かに対して、怒りや好意などの何らかの感情を持っていると、その感情を持たない視点から考えることが難しくなってしまうこと
ギャップ(Gap):空白・隙間
- 趣味にお金をつぎこみすぎてしまう(その趣味のいいところばかりが見えてしまう)
- 社長になると社員の立場が理解できなくなる
などが例として挙げられます。
また、感情ギャップは他人に対してだけ起こるものではなく、
自分が感情的(Hotな気分)になっている時は、
落ち着いている時(Coldな気分)のことを想像しにくいし、
その逆も難しい、といったように、自分自身のことにでも起こりえます。
このことから、Hot-Cold Empathy Gapと呼ばれることもあります。
感情移入ギャップがHSPさんに与える影響
では、感情移入ギャップはHSPさんの判断や生活にどのような影響を与えるのでしょう。
- 物事を正確に評価・予測できなくなる
- 他人に対する共感を妨げる
の2点から紐解いていきましょう。
物事を正確に評価・予測できなくなる
感情移入ギャップによって、自分の持っている感情が
評価の邪魔をしてしまうことがあります。
冒頭にあげた歌で言うと、
振られてしまった相手のことが好きと言う感情(Hot)によって、
振られた相手のことを過大評価してしまっている状況です。
また、落ち着いている(Cool)時に
「〇〇な時(Hotになる状況の時)はこう対処しよう」と思っていても、
実際その状況に置かれると、思ったようにはいかない、といったことも
引き起こします。
特に、刺激や他人の言動に敏感なHSPさんは、
そういった気質を持たない人より興奮した状態(焦る・不安になるなど)に
なりやすい傾向があります。
誰かのある言葉に焦った結果、落ち着いていたら到底選ばないような返答をして、
後々「どうしてあんなことを・・・」と反省してしまう人は、
もしかするとこの感情移入ギャップの悪影響を受けているかもしれません。
他人に対する共感を妨げる
感情バイアスは、「他人に共感する時」にも働きます。
興奮している(Hot)相手と落ち着いている(Cold)な自分の間で、
- 怒っている相手の話を聞いているが、どうしてそんなに怒っているのか理解できない
- 自分が部下の時は上司にこき使われるのが嫌だったのに、いざ自分が上司になったら同じことを後輩にしてしまう
- 友達が恋人と別れようか悩んでいる話を聞いて、「その状況ならさっさと別れたらいいのに・・・」と思う
などの現象を引き起こします。
が!!共感能力がとても高いHSPさんは興奮している(Hotな気持ちの)人
と同じ感情にたやすくなれてしまいます。
つまり、HSPさんは感情移入ギャップを乗り越えて、相手に寄り添うことができる
という長所を持っているのです!
感情移入ギャップとの上手な向き合い方
ここからは、感情移入ギャップによって
物事をありのままの姿で判断できなくなってしまわないために、
自分で工夫できることを2つご紹介します。
- 落ち着いている時に感情的な時のことを分析する
- 他の人に意見を聞く
落ち着いている時に感情的な時のことを分析する
感情移入ギャップによって、
物事を過大評価・過小評価してしまうことを防ぐためには、
興奮していた(Hotな気持ち)だった過去を振り返ることが大切です。
先ほどご紹介した、
落ち着いている(Cool)時に「〇〇な時(Hotになる状況の時)はこう対処しよう」と思っていても、実際その状況に置かれると、思ったようにはいかない
という例を使うと、「思ったようにいかなかったな」と思えた時のあなたは
落ち着いている(Cool)な状態です。
その時にうまく行かなかったことを落ち込んで終わるのではなく、
- なぜうまくいかなかったのか
- 興奮していた(Hotだった)時に見落としていたポイントはなかったか
- 落ち着いている(Coolな)時の想定と実際の差はどこか
を考えてみるようにしてください。
漠然と自分を責めるのではなく、あくまでも理論的に。
今後、あなたがうまくできなかった状況と似た状況に出会うこともあるでしょう。
その時に同じことを繰り返さないために。
経験を経験値に変えていく習慣をつけてみませんか?
他の人に気持ちを聞く
趣味にのめり込みすぎていると感じた時、
恋人の悪い部分しか見えなくなって危機感を感じた時、
焦って次に打つ手を思いつかない時。
誰かにそのことを話してみるのはいかがでしょうか。
そして相手に聞いてみるのです。
あなたはこのことに関してどう思う?
そこで返ってきた相手の答えはおそらく、
あなたが冷静になった(Cool)な時の考えと似たものである可能性が高いです。
こうすれば、感情的になっている(Hot)な自分と、冷静な(Cool)な相手の
感情移入ギャップを利用し、「感情的になっている自分」を客観視することができます。
その上で、本当に自分が下すべき判断、取るべき行動は何かを考えてみると、
1人で感情的になっていた時とはまた違う選択肢が浮かんでくるのではないでしょうか。
まとめ
今回は、
についてご紹介しました。
上でもご紹介した通り、HSPさんには感情ギャップをものともせず、
他人に深く共感し、寄り添うことができる気質を持っています。
冷静(Cold)な時の自分の判断はもちろん大切ですが、
「感情的(Hot)になれちゃう自分」も受け入れて、上手に魅力に
していきたいですね🔆
⚠️認知バイアスについては、本来の意味と異なるものを紹介しないよう細心の注意を払っておりますが、
HSPさんにどう影響するかについては個人の解釈が入っております。
こういう考え方もあるんだなあ〜という気持ちで見てくださると嬉しいです!
【参考文献】
・情報文化研究所 情報を正しく選択するための認知バイアス辞典 フォレスト出版株式会社 (2021)
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