今、HSPさんに特化した私の文章を読んでくれている人は、
きっとこんな人ではないでしょうか。
- 他の人が気にもしないようなことが気になってしまう
- 自分に対する周りの評価がすごく気になる
- なかなか本音が言えない
- つい「いい人」になってしまう
おそらくかなりの割合の人が「そうそう!」と思ってくださったと思います。
ですが、当然ながら私はみなさんの性格を全く知らないどころか、
顔を思い浮かべることもできません🫥
上の文は単に「HSPさんによくある性格」を並べてみただけです。
これは少しあからさまだったかもしれませんが、このようにして、
「何も知らない誰かの性格を言い当てる」ことは案外簡単にできてしまいます。
血液型占いや、星座占いなどもいい例でしょう。
そして驚くことに、私たちはそれで「自分の性格を言い当てられた!」と信じ、
時に自分の行動や考えすらも変えてしまうことがあるのです。
・・・それって結構知らなかったら怖くないですか?
ということで今回はバーナム効果という認知バイアス(考え方の偏り)をもとに、
について知る中で、どうしてこのようなことが起こるのかを探っていきましょう!
⭐️おすすめの記事⭐️
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バーナム効果とは
バーナム効果
:ほとんどの人に当てはまるような性格についてのありがちな説明を、自分のことを言い当てているとして受け入れてしまう現象
バーナム効果は、権威のある人や信頼している人によって行われるほど、
その効果は高まるそうです。
自分の性格の話なので、そりゃ通りすがりの誰かより著名な占い師さんや
仲のいい友達の言葉の方がより信じてしまいそうになりますよね。
ちなみにバーナムは人の名前です。
アメリカでサーカスなどの興行を成功させ、
we’ve got something for everyone(全ての人に当てはまる何かがある)
という言葉を残しています。
この言葉にちなんで生まれたのがバーナム効果だということですね。
また、これを心理学者のバートラム・フォア氏が立証したことから、
フォアラー効果と呼ばれることもあります。
バーナム効果が起こる仕組み
バーナム効果は、
自分の考えや予想に沿うような情報のみ集め、それに反するような情報は無視する
という認知バイアス、確証バイアスが大きく関係していると言われています。
確証バイアスについては詳しく説明した記事があるので、ぜひ↓↓↓をご覧ください!
バーナム効果を活用することによるメリット
バーナム効果は、上手に使うことで周りの人との関わりを楽にできるメリットがあります。
- 円滑なコミュニケーションにつながる
- 話し相手の自己肯定感を高める
の2点から、バーナム効果を活用することのメリットを見てみましょう。
円滑なコミュニケーションにつながる
もしあなたが何か一緒に取り組んでいる先輩や仲間に
- 頑張っているのをいつもみているよ
- とても真面目に仕事と向き合っているね
- 準備や片付けを率先してやってくれるな
なんて言葉をかけてもらえたら、あなたはどんな気持ちになりますか?
もちろんその相手との関係性にはよると思いますが、
嬉しく感じる人が多いのではないでしょうか。
上にあげた言葉は、取り組みに対する姿勢としては比較的誰にでも当てはまる項目です。
が、これをあえて言葉にして伝えることで、言われた相手は「自分は理解されている」
と感じ、嬉しく思ったり、言ってくれた人に好感を持ったりすることが多いのです。
嘘を言うのは良くありませんが、
できて当たり前だと感じていることをあえて口に出し、感謝してみることで、
周りの人との関係性が少し良くなることがあるかもしれません。
(恋人やお子様にも結構使えますよ・・・😉)
話し相手の自己肯定感を高めることができる
- いつも笑顔で周りと接しているね
- 絶対に約束を守ってくれるよね
- よく周りを見ることができているね
これらも、多くの人に当てはまりやすい褒め言葉です。
ですが、これを思っているだけではなくきちんと口に出して伝えることで、
相手が自分の長所に気づくことができ、自己肯定感を高めることができます。
友達、家族、仕事の同僚、恋人。あなたにとって大切な人が、
ありのままの自分自身を好きでいるためのお手伝いを、
あなたの言葉1つでできるとしたらとても嬉しくないですか?🙌
バーナム効果がHSPさんに与える悪影響
バーナム効果は上手く使えばコミュニケーションの潤滑油になる一方で、
バーナム効果を受ける側になると、思わぬ悪影響をもたらすこともあります。
一体どのような影響を受けるのでしょうか。
- 自己肯定感が下がる
- 自分で自分の可能性を狭めてしまう
の2点から考えていきたいと思います。
自己肯定感が下がる
周りの評価に自分の評価が左右されやすいHSPさん。
友達との会話や、何気なくした占いの結果などで、
- 時々自分を甘やかしてしまう傾向がある
- 他人の気持ちを考えずに行動してしまうことがある
- 大切なことを見落としてしまうかもしれない
なんてことを言われた(書かれていた)時には、
- やっぱり自分は自分に甘いダメな人間なんだ
- 他人の気持ちを考えるのが苦手なんだ・・・
と落ち込んでしまい、自分に自信がなくなる原因になることがあります。
先ほど紹介した、バーナム効果の良い影響とは逆のことも起こりうるんですね。
自分で自分の可能性を狭めてしまう
誰にでも当てはまるような説明のうち、以下のような
- 集団行動は苦手な傾向にあるでしょう
- マニュアル通りに進む作業は苦手でしょう
- 大勢の飲み会では聞き役に回ることが多いでしょう
自分の行動に関わるようなものにおいてバーナム効果が働くと、
何か自分がすべきことで決断を迫られた時、
- 私は集団行動が苦手らしいから、ここのコミュニティには入らないでおこうかな
- この作業はマニュアル通りに進むものだから、私にはできないだろうなあ
- これ話したら面白いかもしれないけど、私は聞き役らしいから大人しくしておこう
などのように、自分で自分ができることの選択肢を狭めてしまう原因になります。
これは特に、自分のできることについてよく考える時間がないまま決断しないと
いけない時に起こる傾向があります。皆さんもあるのではないでしょうか?
バーナム効果と上手に向き合うポイントは周りを見渡すこと
1つの情報からさまざまに考えを広げ、推測し、
自分の中で「こうすべき」というルールを作ってしまいがちなHSPさん。
バーナム効果の影響を受けて自信がなくなってしまったり、
自分が取れる行動の選択肢の幅を狭まったりしないためにどんなことができるでしょうか。
それはずばり「周りを見る」ことです。
先ほど挙げた「時々自分を甘やかす傾向がある」という例について考えてみましょう。
やろうと思っていたことを面倒だからとやめてしまったり、
買わなくてもいいものを「ご褒美に・・・」とつい買ってしまったり。
確かにあなたには自分を甘やかす一面があるかもしれません。
でも、あなたの周りにいる家族は、友達はどうでしょう。
その人たちもまた、多かれ少なかれ自分のことを甘やかしているのではないでしょうか?
人の性格に当てはまるものを、「ある」か「ない」かの2択で表すことはほぼ不可能です。
先ほどの「自分を甘やかす」例でいうと、
完全に自分から甘えを捨て去った人はほとんどいない一方で、
徹頭徹尾自分のことを甘やかして生きている人もそういない、といった感じでしょうか。
だからこそ、「自分を甘やかす」と言われた時に、
多くの人は「自分に当てはまる」と感じ、その後の行動やそれを言った相手への印象に
対して影響を受けてしまうことがあるのです。
だから、誰かに言われた言葉で自信がなくなったり、
何かが自分にはできないような気がしたりしたら、一度周りを見渡してみてください。
きっとあなたに似た性格を持った人がたくさんいること、
そしてその人たちが、あなたが諦めようとしていることを案外簡単にやってのけて
しまっていることを発見できるでしょう😉
まとめ
今回は
- バーナム効果は、性格についてのありがちな説明をまるで自分のことを言い当てられているかのように感じる現象
- バーナム効果は周りとのコミュニケーションを円滑にする一方で、自己肯定感や自身の行動に悪影響を与えることもあること
- 性格に関する事柄は「ある」「ない」だけでは表せない。周りを見渡して自分の性格を客観的に見ることが大事
と言うことをお伝えしました。
冒頭に挙げた通り、バーナム効果の影響を受ける性格に関する説明の1つに、
HSPさんの大きな特徴である「繊細」もあります。
自分は繊細だからみんなができることができない。
と、自信がなくなってしまった時はぜひバーナム効果の話を思い出してください。
繊細である自分を否定するのではありません。
少し周りを見渡してみて、部分的にでも繊細な面を持つ人が、
自分がつまづいた場面をどううまく乗り切っているのか。
少し参考にしてみようかな?なんて視点を持つことができたら、
あなたの中の「繊細さ」が持つネガティブな面は少しずつ消えていき、
ポジティブな面が顔を出してくるかもしれません🌼
⚠️認知バイアスについては、本来の意味と異なるものを紹介しないよう細心の注意を払っておりますが、
HSPさんにどう影響するかについては個人の解釈が入っております。
こういう考え方もあるんだなあ〜という気持ちで見てくださると嬉しいです!
【参考文献】
・情報文化研究所 情報を正しく選択するための認知バイアス辞典 フォレスト出版株式会社 (2021)
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